秋の紅葉と並べて語られることも多い、時を経て色付いた深い文字盤。
この作為のない、時の流れと偶然が作り出す芸術的な文字盤の腕時計が今月のテーマ。
これはヴィンテージデニムやレザーのように、時の移ろいが生む日焼けという「劣化」に美を見出す日本人ならではの美意識が生んだ価値ですが、ただエイジングしていればいいってものじゃない。
当然ながら、美しくエイジングしているかどうかが最も重要。
 

保存状態、着用環境、etc…。ひとつひとつ腕時計が生きてきた時の流れはそれぞれ違って、その表情への表れ方は一人一人の人生のようにさまざま。マーブル柄に色付いた文字盤、あたかもインデックスが発光しているように変色した文字盤など、その美しいエイジングは奇跡的とも言えます。

 

 

 

 

 

長く店頭に置かれ、買い手を待ち続けていた腕時計。
あちこちにできた針の日焼け跡は、デッドストックのヴィンテージウォッチ特有の表現。この数が多いほど、止まるたびにゼンマイを巻かれ、それでもなお無数のウィンドウショッパー達を見送った不遇の時代を偲ばせます。
ちなみにヴィンテージデニムにはリアルなユーズド加工ができても、ヴィンテージウォッチにはできません。たまにエイジング加工されたものを見ますが、どこまでいってもわざとらしい。
本物のヴィンテージ文字盤のエイジングは唯一無二です。ぜひお店で直に味わってみてください。