宝飾品店が手掛けた腕時計、いわゆるジュエラーズウォッチについては、僕自身が特にこだわりを持って集めていて、今までも幾度となく取り扱ってきました。その思い入れについては、以前の記事をぜひ見ていただければと思います。

その多くはあまり知られていないローカルブランドであるにもかかわらず、一流のサプライヤーが製造する高品質なケース、秀逸にして個性あふれるデザイン、そして今となってはロストテクノロジーとも言うべき繊細で美しい文字盤作成技術など、名門ウォッチメーカーに比肩する優れた腕時計を輩出している、ジュエラーズウォッチ。今回はこれまでメインを張っていた英国の宝飾品店だけでなく、フランスやドイツ、米国といった海外のジュエラー、リテイラーの腕時計を揃えた、幅広いラインナップになります。

誰も知らない、その歴史も定かでない、はるか昔に忘れ去られた宝飾品店の腕時計。ただ知られていないだけ。ただそれだけでその腕時計の価値を低く評価することは、クォーツショック以前、とりわけ1930年代、40年代の腕時計においては全く当たりません。知名度とクオリティが全く比例しない、誰もが知る名門ブランドと肩を並べるような傑作揃いというこのジャンルの魅力を、ぜひ、そして何回でも、ご堪能ください。