ペアウォッチというとなんとなくベタな響きがありますが、サイズ違いで似通ったデザインのアンティークウォッチを対で揃えるというのは、狙って入手できるものではありません。

それはまさに運命的な出会いでもあります。
デザイン性で共通項の多い、《チュードル》による対の腕時計。
 

アンティーク 腕時計

いずれも1950年代初頭の盾バラ、オイスターケース、センターセコンド。大きな違いはやはりケースサイズで、左のラージサイズはこの時期の腕時計としては異色の存在。いずれも夜光が用いられたミリタリーテイストに、英国市場を意識した生真面目なルックスの優等生兄弟(姉妹)。
ド田舎まで行って現地の宝飾品店を訪ね、何十本か見せてもらったけど惹かれるものはゼロ。がっくりしていたところに店長が奥から引っ張り出してくれたのが、このラージサイズのチュードルでした。迷わず手に取ったのはその希少性だけでなく、別の日にロンドンで手に入れていた右のミッドサイズの存在があったから。

 

次もデザイン性の近い、《オメガ》と《モバード》。

 

アンティーク 腕時計

ホーンラグ、ブラックダイヤル、黒文字盤。とてもよく似ているけど、先程のチュードルのように瓜二つとは言えない。ちょっとずつ異なるディテールのズレ。
実はこのケースサイズとラグデザインとの関係性が重要で、もしこのラグデザインだけ交換するとバランスが崩れてしまう。オメガの小振りなサイズだからこそ、このラグデザインが似合う。モバードもまた然り。
似ているようで、実はひとつひとつのデザインが予定調和であることを教えてくれる、全く異なる対の腕時計。
 

 

最後に《J.W.ベンソン》。年代の違う、対の腕時計。

 

アンティーク 腕時計

右が1960年代、左が1950年代。人間でいうと、ひと回りくらい年の差がある間柄。「干支一緒じゃん!」なんて言い合ってる感じでしょうか。
文字盤デザインはほぼ同じ。違うのは、各々の時代に流行した、スタイル。 どちらも古くて新しい。