ホワイトダイヤルに月面のクレーターを思わせる煉瓦色の模様。さらに赤銅色に煌めく針類もブルースチールが経年変化したもので、錆びることなく美しい色と輝きを保ちながら、しかもダイヤル上の色味の変化と奇跡的に同調しています。

針やインデックスといったいわば「役者」は綺麗なまま、文字盤だけがエイジングすることで美しい「景色」が生まれる。僕が思うアート・オブ・エイジングはこれに尽きますが、針もエイジングしつつその美しさを損なわない例は、この個体以外に見たことがありません。