advintage歴の長い方の中には、もしかしたら記憶に残っている方もいるかもしれません。当店オリジナルのレザーベルトレーベル “(anonym)” のハイエンドラインが、この程完成を迎えました。

このプロジェクトがスタートしたのは、実に6年前。当時オリジナルで製作したレザーベルトのレギュラーライン、現在の「アノニム」が完成し、これをさらにハイエンド化した特別なウォッチベルトの構想をし始めたのが2017年だったと思います。たしか。

オリジナルウォッチベルトのレギュラーラインはできた、次はそのハイエンドラインを企画したい。でも、ただ高い革使って手縫いで仕上げて最高級品ですっていうのだけは嫌だ。常々そういう思いを持っていた僕は、もともと好きだったレザーシューズのディテールや製法を、ウォッチベルトに落とし込むことはできないかと考え、知り合いを通じてある一人の靴職人と出会いました。彼にその話を伝えたところ非常に興味を持って快諾していただいたのが、今回のプロジェクトが始まりです。当初のコンセプトは「靴職人の創るウォッチベルト」でした。

しかしながらそのプロジェクトは非常に難航しました。何回も打ち合わせを重ね、数多くの試作品を製作していただいたものの、これだ!というものがなかなか生まれず、1年以上が経過したあたりで一旦プロジェクトは頓挫。実は非常に苦い経緯があったのです。

それから4年が過ぎ、2022年。advintageが銀座に出展して間もない頃、今度はその靴職人さんから「あのプロジェクト、もう一回やりませんか」という嬉しいお声をいただき、再び製作がスタートしました。実は僕自身もハイエンドラインのプロジェクトを諦めていたわけでは決してなく、4年間ずっと試作品の改良点やアイデアを温め続けていたので、すぐに新しい試作品の製作に着手できました。それはもう、4年も空白期間があったのが嘘のようにプロジェクトは進み、ついに2022年の暮れ、新しいアノニムのハイエンドラインが完成しました。

そんなこんなで思いのほかとんでもなく長い時間かかってしまいましたが、今回のハイエンドラインは決して自己満足に陥ることのない、本当に今までなかったウォッチベルトだと自信を持って言えます。値段はレギュラーと比べると遥かに高価ですが、老舗や名門のブランドネームにあぐら掻いてるどこぞのメゾンのウォッチベルトより、クオリティもデザイン性も込めた熱量も、何もかも上を行っていると自負しています。

 

 

■「究極の黒」を標榜するハイエンドモデル、〈タキシード(TUXEDO)〉

 

 

世の中に無数に存在するブラックのウォッチベルト。その中で最も強い光を放つものがあるとしたら、それはこのアノニムの「タキシード」ラインです。素材はイタリアのタンナー〈ゾンタ〉社のベビーカーフのブラック。生後6ヶ月以内とされるカーフよりも月齢の浅い、生後3ヶ月以内の仔牛の革で、極めてきめの細かい銀面が特徴です。とりわけ腕に装着した際にテンションがかかってカーブを描く銀面は、あたかも一面の星空が煌めくようなロマンティックな輝きは唯一無二。裏革に採用したのは、フランスの名門タンナー〈デュプイ〉の、主にシューライニングに用いられるライニングレザー。総じてそのルックスは、どこかドレスシューズを彷彿とさせます。

レディメイドはこのブラック1本のみ。なぜならこれが僕にとって最高の黒だからです。

 

 

■2種類のコバデザイン

もちろん凄いのは革だけではなく、その製法も凄い。1940年代のヴィンテージのウォッチベルトは、どんなミシンを使って縫ってるんだと言いたくなるような、最高級のドレスシャツみたいな繊細なステッチングが見られます。それをドレスシューズの細かいミシンステッチで、ベルトの際を最大限攻めています。さらに、今回のハイエンドモデルはいわゆるコバの仕上げを2パターンからお選びいただけるようになっています。

 

「タキシード・エボニー」

ひとつめは、一般的な顔料によるコーティングのではなく、高級レザーシューズのコバ仕上げと同じく染料を何度も染み込ませて磨き上げることで、シルキーな光沢と手触りを持つ美しくドレッシーな漆黒のコバ仕上げ、〈タキシード・エボニー〉。高級レザーシューズを思わせる、艶やかに磨き上げられた美しくシャープなコバが特徴で、上品かつ力強さの漂うシルエットが、腕時計をひとつ高みへ引き上げます。ドレッシーな腕時計、あるいはダークスーツといったパワフルなアウトフィットも真正面から受け止める、黒檀のような質実剛健さが魅力です。

 

 

「タキシード・デュオ」

ふたつめは、ブラックの表革を独自のフォールディング製法によって内側に折込んで縫い上げ、ライニングを分厚く、色もそのままで仕上げることで、コバ部分がサイドから見てブラック×ブラウンのデュオトーンを形成する〈タキシード・デュアル〉。腕に装着した際にもコバ部分に二つの異なる色がさりげなく同居するため、ドレッシーでありながら上記のエボニーよりも幅広く様々な腕時計のデザインやアウトフィットと相性が良く、何より唯一無二のビジュアルが魅力。またフォールディングされたアッパーのエッジラインに輝く筋上の光沢が独自の世界観を放ちます。

 

 

どちらも高級感と上質感、そしてオリジナリティを兼ね備えた、かつてないadvintageの自信作です。

 

 

■カスタムオーダーからフルオーダーまで可能な「ビスポーク」にも対応

 

また先ほど「レディメイド(既製品)」としたのには、もちろんわけがあります。今回のハイエンドラインはビスポークシューズの靴職人がひとつひとつ製作に当たっているということは、、、そうです。カスタムからフルオーダーまで可能なモデル、アノニム「ビスポーク(BESPOKE)」の受注生産も同時に開始します。

 

 

今回のハイエンドモデルが「ビスポークライン」と銘打っている所以がこちらです。
革の種類・色、ステッチカラー、サイズ等を選べることはもちろん、上述の2タイプのコバ仕上げ、さらにレングスやベルトの形状まで、まさにビスポークシューズを作る際と同様に、ご相談の上でオリジナルのベルトをオーダーすることが可能です。

ビスポークメニュー
〈無料オプション〉
・取付サイズ
・革種選択(レギュラー)
・ステッチカラー
・コバ仕上げ選択
・遊革仕様選択(完全固定、半固定、非固定、etc.)

〈有料オプション〉
・フリーデザイン
・手縫い
・特殊革種(クロコダイル、エレファント、リザード、コードバン、ミュージアムカーフ、etc.)

 

レディメイドの「タキシード」とオーダーメイドの「ビスポーク」。この両輪でハイエンドなアノニムが、新たに始動します。是非ご期待ください。

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