その昔、ヨーロッパで腕時計の主なリテイラーと言えば宝飾品店で、リングやネックレス、カトラリーといった貴金属製品や宝石類に割と近いジャンルでした。

そこそこ大きな宝飾品店は自社名を冠した腕時計の企画を行なっており、それらは独自の世界観に彩られた非常にユニークなものが揃います。このジュエラーズウォッチはadvintageが初期から注目してきましたが、いまだあまり知られていないジャンル。是非その魅力を、宝飾品店がひしめき合うバーミンガムのジュエリー・クォーターの一角、ジュエリーボックスで埋め尽くされるショーウィンドウをイメージしながら味わっていただければ。

余談ですが、まだ現地のディーラーたちと顔見知りになる前、買い付けではマーケット以外でもいろんな街のジュエラーを回っては古い時計を持ってないか尋ね歩いてました。営業は苦手だけど、あの飛び込み訪問はいつも楽しかったな。

英国ではどんな街でも必ず1軒は宝飾品店が存在します。それだけジュエリーが庶民の間に文化として息づいているんだと思います。ジュエラーズウォッチの多くは世界的に有名なブランドでは決してないものの、英国ではそうした古い腕時計や懐中時計がとても大切に扱われているのが印象的です。腕時計が道具としてはもちろん装飾品としてその価値が正しく理解されてきたことは、これらの伝統的な宝飾品店によるところが大きかったのかもしれません。