今月はadvintageのセレクトの象徴とも言える小振りな腕時計たちの中でも、1940年代まで存在していたメンズウォッチの28mmという極めて個性的なケースサイズの腕時計にフォーカスします。

40mmを超えるサイズが跋扈する現行のメンズウォッチラインからすると、この28mmという大きさはミッドサイズというよりもむしろレディースウォッチに近いと言えますが、実は男女問わず多くの日本人の腕に非常に馴染むという奇跡的なサイズなのです。

1950年代以降は徐々に腕時計の大型化が進み、メンズウォッチの基本設計は30mm以上が増え、この28mmのケースサイズは姿を消します。特にadvintageのセレクトはアール・デコ期に製造された腕時計が多く、そのデザイン性もこのジャンルと深くリンクしていますが、この腕時計のポイントは腕に乗せた際の時計部分と腕の地肌、そしてベルト部分、三つの面積のバランスにあります。これある種の黄金比を持ったとき、その独特のデザインと相まって絶妙な美しさを放ちます。

たぶん、現行品のサイズ感に慣れた方の場合、初見だとその小振りなサイズに驚かれると思います。しかし30分ほどこのラインナップを観察したり試着したりしてじっくり向き合っていただくと、いつの間にかその絶妙なサイズ感が心地よいものになってくる。そんな不思議な魅力を持つ腕時計たちです。