今月のテーマは、”D-Uhren”としました。ドイツの腕時計です。
昨今ドイツ発の腕時計メーカーが躍進し、特に高い評価を受けていますが、ヴィンテージというジャンルにおいてはそれほど注目が集まっていません。有名なのはユンハンスくらいで、それ以外はよく知られていないからなんでしょう。
今回のタイトルは、そんなドイツの腕時計の魅力を”D”というアルファベットに込めました。
ドイツにはプフォルツハイムという、宝飾品や精密機械などの工房が集中する工業都市があり、以前からMADE IN GERMANYのムーブメントの製造が行われていたこともあって、ユンハンス以外にもさまざまなジャーマン・ブランドが存在します。まずはそれを知って欲しいのがひとつめのD。”Deutsche”のDです。
ふたつめのDは、”Dienstuhr”。ドイツ国防軍向けに製造された、いわうるサーヴィスウォッチです。このジャンルでよく知られるのが、”DH”の刻印が裏蓋に刻まれたドイツ陸軍のシリーズ。
僕は個人的にミリタリーウォッチはドイツ軍が一番好きで、「ミリタリーウォッチらしい」ミリタリーウォッチだと思います。わかりやすくかっこいい英国軍のダーティ・ダースなんかと違い、圧倒的に土臭いデザイン。無骨な野武士のような存在感。本来的な意味でガチの男の腕時計という印象です。
そういう意味で、ドイツの腕時計は質実剛健で実用本意という向きが強いイメージ。というか、そういうドイツの腕時計が個人的に好きでセレクトしてしまっているのかもしれません。それが最後のD、”Die Uhr”。「ザ・時計」。決して派手じゃない、でも飽きの来ない懐深いデザイン性は本当に魅力的で、なんだかんだで一番使ってる。そんなジャーマンウォッチの魅力が少しでも伝わってくれたら。