1930年代に起こった各種メーカーの腕時計開発競争の中で特に異彩を放っていた〈ピアース〉。世界初の垂直クラッチ・クロノムーブメントを開発したことでも知られていますが、このローマ数字のモデルも世界初、というか他に類を見ない、リニア・オートマティックと呼ばれる直線運動をする自動巻き上げローターを備えた貴重な個体。THE・ミュージアムピース。
やる事なす事全てがロックンロールなメーカー。斬新なラグデザインと、共通して見られるビス留めの裏蓋もアンユージュアル。

 

 

 

こちらがそのムーブメント。縦に伸びた二本の軸がレールのような役割を持ち、金色の部分が錘となり、リニア軌道つまり直線運動で往復することによってゼンマイが巻きあげられる仕組みになっています。手巻き機能はなく、この自動巻き機構のみでゼンマイの巻きあげを行います。

 

 

 

資料を探してみると、アラビア数字のものがちらほら。しかし明らかにこのローマンインデックスのほうがクール&ユニーク。よく見るとローマ数字の"4"が、普通慣例的に時計で使用する"IIII"ではなく一般的な"IV"の表記を採用している点もまた、ピアースらしい破格。ロケンロー。