スミスは自社ブランドだけでなく、当時英国に存在した様々な小売店・宝飾品店向けにOEMを行っており、他社名義でのスミス製腕時計もまた傑作が揃います。
 

 

スミスが腕時計を手掛けたことで有名な〈ガラード〉。英国王室の王冠を手掛けた、「クラウンジュエラー」と称される老舗宝飾品店です。
内側の2点がガラードで、いずれもやはりスミスの名機「デラックス」の代表的な文字盤デザインを踏襲しています。特に右はデニソン社の金無垢ケースの中でも最高級とされる「アクアタイト」の防水ケースを採用したスペシャルイシュー。ムーブメントもスミス製ですが、特にガラードの場合通常15石の受け石を18石に増設されたハイエンドモデルを搭載しています。
スミスの腕時計と同様の文字盤デザインが採用されているのも、こうしたスミス製別注モデルの特徴。当時英国ジュエラーに様々な時計メーカーが流行りのデザインを提案する中、スミスはたとえOEMだとしても、このように断固として自社ブランドのデザインを前面に出した時計づくりを行なっていました。

 

 

 

 

こちらの2点の腕時計は、いずれもスミスが手掛けたもの。ケース、文字盤ともにやはりその初期モデルのデザイン性が踏襲されており、当然ながらムーブメントもスミス製を搭載しています。
左は特に人気の高い〈J.W.ベンソン〉の別注。右は〈トーマス・ラッセル〉のそれで、いずれも懐中時計で知られた英国の時計メーカーでしたが、第二次世界大戦時に工場を破壊されたり、腕時計ムーブメント作りのノウハウがないこうした古いメーカーは、戦後生まれたスミスの純国産ムーブメントに大きな期待を寄せていたと思われます。