センターセコンドの腕時計に透けて見える、クロノグラフのDNA。

アンティーク 腕時計

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クロノグラフの大きな特徴として、複数のサブダイヤルと針をひとつの文字盤に搭載していることが挙げられますが、その中央に備えられた「クロノグラフ針」と呼ばれる秒針もユニークです。
その針は何よりもまず「計器」であるクロノグラフの特性上、最も大振りで目立つ存在。延長されたテールは、末尾にポインターを持っており、中には針の先端に赤い矢のようなモチーフを備えているものも。この針を視認することがクロノグラフを操る上での第一要件だということを、象徴的に物語っています。
翻ってセンターセコンドの三針時計の使用環境を見てみると、戦争を経てスポーツや冒険に至るまで、単に日々の時を知るだけではなく集団行動や測定といった秒単位での時の利用を目的としています。それらはクロノグラフ同様、「ミッションウォッチ」と呼ばれるジャンルと言って良いかもしれません。
もちろん現行の一般的な腕時計は、当たり前のようにその秒針は時分針と同じ位置にあります。しかし、その本来の使用目的としてのデザイン性は薄れています。
そんなわけで、ヴィンテージウォッチのセンターセコンドは現行品とは全く異なる目線で見てあげるべきだと、個人的に思うのです。