アンティーク 腕時計

 

個人的にウエストエンド・ウォッチカンパニーの腕時計は、他のブランドには無い個性を強く感じます。
第一次大戦期、英国軍にミリタリーウォッチを供給したことを契機に兵士達の間でウエストエンドの腕時計の評判が高まり、当時イギリスの中東戦略において英印軍(Britis Indian Army)を動員した際、同社は数多くのミリタリーウォッチの供給を行いました。
防水性・防塵性の高い堅牢なケースに加え、業界で初めて耐震装置インカブロックを正式採用したことでも有名な自社製ムーブメントを搭載し、現地のタフな使用環境に置いてウエストエンドの腕時計は大きな信頼を獲得しました。インド向けのミリタリーウォッチの供給は、オメガやロンジン、ティソ、ミドーといった名門メーカーも参加しており、ウエストエンド名義の時計製造も行うほど、極めて高い需要が存在していたようです。
 

 

そんな中、ウエストエンドの腕時計〈ソワール〉は非常に大きな存在感を放っています。そのデザイン性は1910年代から共通し、特徴的なブルースチールの時分針を採用した文字盤デザインは、他メーカーが手掛けたものとは一線を画す上品なルックス。英国時計に共通する、控えめなデザイン性はここにも表現されています。

 

下の2本は、数あるウエストエンドの腕時計の中でもほとんど市場で見かけることのない、セクターダイヤルを採用したモデル。奇跡的にレディースサイズとペアで揃いました。
 

 

アンティーク 腕時計

 

僕自身、セクターダイヤルのソワールはこれが初見。面白いことに、レディースの方は偶数飛びアラビア数字となっています。その他レイルウェイ・インデックスのパターンも共通です。この2本が時間を越え一つ所に並ぶこと自体、運命的なものを感じざるを得ません。