アンティーク 腕時計

 

LONGINES / "DH" GERMAN ARMY » 商品詳細ページ

 

幾何学的なアール・デコの文字盤。特にその外周のミニッツインデックスを飾るレイルウェイ・モチーフの意匠は、この時代の腕時計デザインのハイライトと言うべきアイコニックな存在。
このデザイン自体は、鉄道が普及した19世紀後半から存在する古典的な文字盤意匠ではあるものの、「マシン・エイジ」と呼ばれる1940年代の大量生産の時代、特に隆盛を極めることになります。
シンプルにして力強いそのデザインはクラシックデザインの代表格であり、視認性と美意識とを両立することからミリタリーウォッチからドレスウォッチまで幅広く採用されたにもかかわらず、1950年代以降のミッドセンチュリーと呼ばれる時代には影を潜めてしまいます。
改めてそのバリエーションを眺めてみると、5分毎のセクタリングや配色などの異なるデザイン性によって彩られていることに気付きます。こちらの「ソーラー・アクア」は、〈オイスター・ウォッチ・カンパニー〉の北米モデルですが、レイルウェイが一続きになっているのではなく、間にアラビア数字を伴って間隔が設けられたユニークなスタイル。

 

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OYSTER WATCH CO. / "SOLAR AQUA" » 商品詳細ページ

 

 

 

またこちらの〈アドミラル〉の腕時計の場合は、基本的にレイルウェイを用いながらも太い仕切りを持った外枠を加えることで重厚感を与えています。言わば二重のレイルウェイ。

 

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ADMIRAL / "WATERSPORT"

 

 

ツートーンダイヤル+レイルウェイという、1940年代の特徴的なデザイン性を備えたロンジンと、同年代の英国陸軍で使用されたリアルミリタリーから、ドットインデックスを伴った典型的なミリタリー仕様のレイルウェイを持つ〈レヴュー〉の腕時計。

 

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left…..LONGINES / BULL'S EYE

right…..REVUE / "A.T.P." BRITISH ARMY

要するに、この時代の腕時計のアクの強さを体現していたのがこのレイルウェイというモチーフだったということ。間もなくその後、このアクの強いデザインは徐々に否定され、必要最低限の要素のみで構成されるシュッとした文字盤が主流となってきます。
 

 

そしてアール・デコを語る上で欠かせないのが、アメリカンウォッチ。その名門〈ハミルトン〉は、今では「カーキ」などのミリタリー色の強いラウンドウォッチのイメージが強くなりましたが、元々はこうしたドレッシーな角形時計で有名なブランドでした。

 

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left…..HAMILTON / "GROVER"

right…..HAMILTON / "KIRBY"

 

「アメリカン・デコ」とよばれるデコラティブで芳醇なイメージは、いわゆる「狂騒の二十年代」を経た米国でアール・デコとバウハウスが合流、そして第二次大戦直後の空前の好景気の中で花開きます。ヨーロッパではほとんどみられなかった優雅でゴージャスなデザイン、アラビア数字やドットのインデックスを別作して植え付けたアプライドインデックスを採用した文字盤など、ラグジュアリーな要素が特徴ですが、その底流には幾何学的な様式美に貫かれています。
 

 

レイルウェイ以外のデザインにも注目。大振りなドットをミニッツインデックスのアクセントに用いたバリエーション。本来ドットインデックスはアラビア数字の間に、言わば「略記号」的に用いられることが多いモチーフでありながら、アラビア全数字と共色にしてバランスをとった秀逸なデザイン。フレキシブルラグという特殊なギミックもこの時代特有のもの。

 

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MAPPIN / 9KYG FLEXIBLE LUG

 

 

今月のテーマ、「1940年代のアール・デコ」も本日で最後。 渋谷店は本日22時までやってます。まだまだ暑いですが、ご都合が合えば是非。