時が染める味わい。これもまた、アンティークウォッチならではの魅力です。

 

アンティーク 腕時計

 

頬を赤らめるように焼けたきつね色の文字盤、ミラーフィニッシュの黒文字盤が枯れて生み出す、煤(すす)色、赤銅色、そして無数のスポットによる亜麻色のマーブル。そのどれもが、作為のない天然の美。

 

アンティーク 腕時計

 

アンティーク 腕時計

 

ヴィンテージの家具や着古したデニムに近い、風合いの美とも通じる部分。文字盤のエイジングはダメージではありこそすれ、機能性に大きな影響を与えるものではありません。
よく、「アンティークウォッチは一点物」と言われます。確かに希少なものほどその言葉通り、限りなく一点物に近いかもしれません。しかし、1940年代以降のアンティークウォッチは当時ある程度の大量生産されていることも事実。そこそこ製造数が多いモデルであれば同一個体は結構出てくるし、70年代以降のスポーツ系ロレックスに至っては…。
何が言いたいかというと、アンティークウォッチを「一点物」たらしめているのは、このエイジングに他ならないということ。本当に美しいエイジングを持つアンティークウォッチは、ミントコンディションを探すのと同じくらい難しいということ。
このような「朽ちる美しさ」を感じられる製品は、最近ではめっきり少なくなりました。ミントコンディション=若者にはない、それぞれの背景を経て個性を極めた時計たち。こんなカッコ良く年を経りたいものです。