対のスミス・金と銀 ~その2
「デラックス」が登場する以前、1951年までに製造されたいわゆるアーリー・スミスの腕時計は、文字盤とケースにいくつかのバリエーションが存在します。当時ケースはほぼデニソン社(☞詳しくはこちら)によるデニソンケースが用いられており、その多くは素材にクロームプレートもしくはステンレススチール(デニスチール)が採用されていました。
やはり定番はステンレススチール。マットでいぶし銀を思わせる鈍い輝きが古いステンレススチールの特徴ですが、デニソン社のものは比較的肉厚で、特にその味わい深い質感が最高。この個体に関しては市場にも稀なリーフ形の時分針にグレーのルミナス(夜光塗料)が採用されています。
さらに、その中でも金無垢のデニソンケースが用いられたアーリー・スミスは特異な存在です。そもそもアーリー・スミス自体生産本数が少ないということもあり、非常に稀少な存在であることは前回述べたとおりです。が、そんな稀少価値などがちっぽけに見える、気品ある佇まいこそが最大の魅力だということは強調しておきたいと思います。
出自の似た2本が様々な経緯を経て、いま、advintageで新たなオーナーを待っています。
スミスとクロノグラフを中心にした展示は本日まで。
来月はまた別のテーマをご用意致しますので、是非ご期待下さい。