「ミリタリーウォッチ=黒文字盤」
そんな方程式を逸脱したモデルがいくつかあります。
 

アンティーク 腕時計

主に海軍や空軍によるミリタリーウォッチがそれですが、白文字盤にブルースチールの時分針が採用されていたり、その表情もどこかスマートで、軍用時計に特徴的な武骨なイメージとは少し異なる雰囲気が魅力的です。何となくお高くとまったノーブルなルックスは、陸軍の腕時計とは明らかに違う。
秒針は基本的にセンターセコンド。その多くはやはりブルースチールで、クロノグラフのようなポインターテールを持ちます。この仕様も、機能性に基づく「ユニ・フォーム」と言えます。
当時大陸間を横断する長距離飛行においては、自身の位置を把握するのに地形の目視は無意味であるため、機内に持込んだ六分儀と計算表、地図そして腕時計(クロノメーター)による天測航法で位置とルートを確認する方法が主流でした。時間から経緯と緯度を導き出すため、その時計の精度は非常に重要となります。とりわけスピードの速い航空機で天測を行う場合は、数十秒の誤差が大きな違いを生むため、セコンドセッティング(秒針合わせ)のシステムとその視認性が重要視されました。
 
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リューズを引いて秒針を停止させるハック機能はそのための代表的な機能ですが、ハック機能が開発される以前の最も有効なセコンドセッティング方法は、ロンジンの「ウィームス」に見られる回転式のセコンドダイヤルによるゼロ地点の設定でした。上の画像はウィームスの後期モデルで、セコンドインデックスを持った回転ベゼルが採用されていますが、使用方法は同じ。つまり自由に秒針のゼロスタート位置を設定できる点が、当時非常に画期的なシステムでありました。
 
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こちらのエルジンはハック機能を持つパイロットウォッチ。”A-11”と呼ばれる、当時陸軍に属していた米国の空軍(米国陸軍航空隊 =United States Army Air Corps)のモデルです。後に黒文字盤に統一されますが、初期はこうした白文字盤の個体も存在していました。ただ、このモデルは数少ない《シュワブ&ウィシュパード》社のステンレススチール製の2ピースケースが採用された、非常にレアな個体です。秒針の先の赤い塗装も魅力的。
 
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この両者は英国軍と米軍という大きな違いがありますが、デザイン性はある程度共通している点が興味深いですね。エルジンは米軍にもかかわらずボンクリップとも相性抜群。
ミリタリーウォッチではありますが、そのインテリジェントな見た目を活かすためにもやはりドレッシーなコーディネートに合わせたいところ。
 
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ビンテージのビスポークジャケットに、RAFのハイネックニット。
 
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ミリタリーウォッチは、ただそれだけでもカッコいい。だからこそアレンジも重要です。良い物でも没個性的になってしまってはもったいないですよね。腕時計は決して単品だけでかっこいいわけではなく、人が着けてはじめて唯一無二のものになるということを、再認識させてくれるジャンルです。
本日も渋谷店にてお待ちしております。