謎に包まれた英国の高級宝飾品店〈ブラヴィントンズ〉。当時ロンドン中心部キングス・クロスに店舗を構えていた老舗ジュエラーでありながら、第二次大戦時には独自の腕時計の仕入れルートを利用し、英国軍にミリタリーウォッチを調達していた時計商社の顔も持ち合わせる稀有な存在です。

その歴史に関する資料が極端に不足している一方で、特に1930年代から50年代にかけてブラヴィントンズの腕時計は豊富なバリエーションを持ち、高級素材や名門サプライヤーが手掛けるケースを採用したり、ハイエンドなカスタマイズが施されたムーブメントを搭載するなど、その実力は折り紙付き。

advintageではかつてよりこの知られざるジュエラーの腕時計の魅力をご紹介し続けてきましたが、ブラヴィントンズがいつ誰によって創業され、どのような末路を辿ったのかすらわかっていないため、具体的な足跡については現状残されたタイムピースや広告資料等による推測に頼らざるを得ないというのが現状。

 

 

こちらは1939年の広告。本店をロンドンの中心地キングスクロスに構え、すでにこの時100年を超える歴史を誇っていることから19世紀前半に創業していることがわかります。

商品ラインナップは金無垢(Solid Gold)を使った華麗な女性向け腕時計に加え、銀無垢(Solid Silver)とステンレススチールを加えた3種類から選べるユニセックスのショックプルーフモデルも、デコラティブでファッショナブルなアール・デコ・スタイル。 ブラヴィントンズの腕時計は、主にスクリューバックを備えたタフユースライン「ウェトリスタ(WETRISTA)」と、ドレスライン「レナウン(RENOWN)」に分けられます。

とにかくそのクラシカルかつユニークなデザイン性は非常に評価が高く、また作りの良さも定評があるのがブラヴィントンズの腕時計の特徴。これらのケースを手掛けたのが、主に英国のデニソン社やスイスのフランソワ・ボーゲル(FB)社。ロレックスやオメガ、パテック・フィリップといったビッグメゾンにもケースを供給していた名門サプライヤーを採用する姿勢に加え、そのムーブメントもほぼ自社ムーブメントと言うべき作り込みの良さ。妥協なき時計づくりへのこだわりが強く伝わってきます。

謎に包まれた知られざる名門・ブラヴィントンズ。
advintageがかなり思い入れを持ってコレクションしていますが、ほとんど注目されていないことと個体数の少なさから、なかなか数が集まらないと言うのも事実。実物を見てもらうとわかると思いますが、中途半端な気概では作られていない、ブランドの「本気」が伝わってくる腕時計ばかりです。ぜひご注目を。