アンティークウォッチの魅力について考えてみると、現行品にはない独特のデザインや希少なムーブメント、歴史的価値といった様々な側面が挙げられますが、それはあくまでアンティークウォッチ単品としての魅力。
もっと広く「腕時計」として見ると、身につけた時に似合っているとか純粋にカッコいいかという側面は、むしろ身につける人がどんな格好をしているか、という部分にこそ重きが置かれると思います。その腕時計がどんなに魅力的でも、似合う格好とそうでない格好がある。そうしたスタイリングの向き不向きがあるからこそアンティークウォッチは面白い。
当店のブログでご紹介している着用例などはそうした側面を意識して撮影していますが、いかんせん当店は服屋ではないのでバリエーションに乏しい 笑。なので、僕が直近のヨーロッパ買い付けで撮ってきたストリートスナップを使って、advintageなりの視点でそれを表現できればと思います。
で、今回のテーマは金無垢時計でアレンジしたいと思います。
 

アンティーク 腕時計

金無垢の腕時計と言うと、ちょっと抵抗のある方もいらっしゃるかもしれません。なんとなく金持ちっぽいとか、若い方だと年齢相応じゃないと言われる場合もありますが、アンティークの場合そんな印象はほとんどなく、むしろ控えめで上品なイメージを引き出せます。
ロンドンの路上にて。例えばこんなラフな格好でも、抑えめなトーンと細身の体型を活かしたシルエットに金無垢が加われば、何気なく上品な雰囲気を加えることができます。ちょっとワル風の髪型も重要ですね。
 
アンティーク 腕時計

パリの路上にて。全身黒づくめに、バイカラーの大判ストールの組み合わせで軽やかなスタイリング。クラシックモードなアイテムがメインで、この場合は黒文字盤の方が雰囲気を活かせそうです。
 
アンティーク 腕時計

同じくパリ、《コレット》前にて。キャメルのチェスターフィールドコートとアースカラーのストール、差し色のキャップといった印象的なアイテムが多い一方で、インナーとボトムを抑えめにしてバランスをとっています。こういう主役級のアイテムがいくつかある場合でもゴールドというのは役に立ちます。ベルトにはネイビーやブラックといったダークカラーを選ぶのが正解。パリではこうしたストール遣いの上手い人が多かったです。
 
アンティーク 腕時計

ロンドンのマーケットにて。タイドアップにロングコート。このパターンは今回数多く見られました。インディゴ濃いめのデニムでドレスを意識。ゴールドケースのドレッシーな雰囲気は当然ながらベストマッチ。シェイプはラウンドをチョイスして、ベルトはダークトーンではなくあえて発色の良いキャメルカラーが良さそうです。
 
アンティーク 腕時計

ロンドンの路上にて。やはり金無垢×ロングトップスの相性は良いみたいです。ステンレスやシルバー系だとちょっと埋もれてしまうところですが、アンティークの金無垢ならうまくバランスがとれる。この人はホワイトスニーカーをスポーティに差していますが、そういう要素とも仲良く出来る懐の深さがゴールドの魅力だと思います。
 
アンティーク 腕時計

今回チョイスした人たちのスタイリングには、何となく共通点みたいなものも感じます。例えばロングトップスをメインに据えたエレガントなスタイルであったり、色味を抑えたダークトーンのスタイルなどがそれでした。ドレススタイルはもちろん、カジュアルでラフな着こなしでもシックなアイテムを主役にすると、腕時計の金の上質感が生きてくる、ということでしょうか。
金時計はまだまだ自分にはちょっと…と敬遠している方も、こうしてみると意外とハードルはそれほど高くないことに気付くと思います。特にブルースチール針やクラシックなフェイスを選べば、ぐっとハンサムな印象を得られます。ヴィンテージウェアとの相性も◎。
個人的には、こちらの《マーク・ファーブル》は最高に良いルックスを持つ腕時計のひとつだと思います。知名度が低いのが大変もったいないブランドの筆頭。
 
アンティーク 腕時計