現代の腕時計のサイズ平均は、およそ40mm。翻ってadvintageで登場する1930年代から40年代の腕時計は、30mm前後と小ぶりなものが目立ちます。時代が遡ればケースサイズがと小ぶりになってくるのは周知の通り。advintageでは特にこの時代の腕時計の上品かつ質実剛健、さらにユニークなデザイン性に注目してきました。

しかし今月はその時代において極めて異色だった存在、34mm超の大ぶりな腕時計にフォーカスします。控えめでノーブルなデザイン性で彩られながら、一般的な当時のモデルよりふた回りも大きなボディ。現行に迫るサイズとクラシックなルックスを併せ持つそれらの腕時計は、同時代においてはもちろん、現在においても異彩を放ちます。

実際のところ60年代以降このサイズはありふれたものになってきますが、同時にデザイン性もまた膨張志向の強いものとなり、大量生産の枠組みの中で陳腐化してしまいます。

しかしながら1930年代〜40年代におけるそれは、どこか異世界感すら感じさせる個性をもち、本格的な夏の到来であらわになる腕元を飾るに相応しい存在感。当然製造数も極めて少ないレアモデルが多く、ヴィンテージ市場でもなかなかお目にかかれませんので、この機会に是非その世界観に触れてみてください。