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これはドイツから帰ってきて速攻でお嫁に行ってしまった知られざるライプツィヒのジャーマンジュエラーズ、〈ヘルマン・ホルマン・ライプツィヒ〉の角型時計。珍しい防水機構、そしてブラックミラーダイヤルに隠し文字でブランドロゴが入る最高にクールな一本ですが、先月のドイツ買い付けでは、特に意識はしていなかったものの普段あまり仕入れないレクタンギュラーモデルが多かった。

最近何となく角型が気になる。

今までは、実を言うとあんまり好きになれなかったレクタンギュラーウォッチ。デザインすべてに何らかの意味があると言われる腕時計のデザインの中で、おそらくどう考えても角型のケースであることに意味を見出せない。視認性は悪いしムーブメントも構造的に無理があって精度が出しづらい。そのため角型ムーブメントは高い技術力を要することから、やたらと値段が張る。また角型ケースは防水構造をとるのが難しく、ラウンド型ほどウォータープルーフケースが一般的でない。それも角型時計の平均価格を押し上げる要因となっている。

何ひとつ合理的な存在意義が見出せない。しかし裏を返せば「ユニークでカッコいい」というバカみたいに単純明快な魅力にある日気づいた。

もちろんそのアーティスティックなデザイン性については以前から注目していたけれど、何となく一歩踏み込めなかった。でも現行品よりもはるかにファッションアイテムに近い存在だと言うことを考えると、むしろその方向性に振り切っちゃってるレクタンギュラーというジャンルの魅力が少しずつ分かってきた気がする。そもそもヴィンテージである時点で、すでに分かりきっているコトではあるけど。

ちなみに別のジャンルでクロノグラフも、こうした趣味性の高さが格別なアイテムだと思いますが、あっちは分かりやすく男の子みんな大好きなデザイン。レクタンギュラーの奥深さとは相容れない。

つまり、レクタンギュラーが好きになると言うことは、ヴィンテージウォッチの魅力の真髄を味わうことができるようになるということなのかもしれない。だからこそレクタンギュラーが玄人好みと呼ばれる理由なんだろう。