「まだそんな歳じゃない」
「自分にはまだ早い」
特に若い方を中心にそうした時期尚早論でしばしば敬遠されるのがゴールドケースの腕時計。あるいは金というマテリアルに対する固定観念も、そのハードルを勝手に上げてしまっているきらいがあります。
今回のテーマ「サマー・ゴールド」では、何とかしてその偏見と言って然るべき概念を壊したい。
確かに、明らかにいやらしい金の腕時計もあります。でもそれは全ての金の腕時計を代表しているわけはなくて、単にデザインの問題。いわば「森を見て木を見ない」概念だと思います。

 

 

 

また腕時計好きの方でも、しばしば金無垢、金張りケースの腕時計は冬の装いと決めている方も多いのではないでしょうか。確かに、ゴールド特有の柔らかい輝きはツイードやニットなどの暖かみのある生地と相性が良い。しかし、Tシャツやラフなファッションと相性が悪いということは決してありません。
多分、若い方の多くが金の腕時計を敬遠し、無難なシルバーやステンレススチールを選ぶのは、金の腕時計が何かドレスアップしないと身につけてはいけないものと決め込んでしまって、「そういうのはもっと大人になってから」という固定観念に結びついているのかもしれません。ちなみにそう言う傾向は日本人特有のものです。
ゴールドウォッチは、特にヴィンテージにおいてはむしろもっとスタンダードな存在。製造から半世紀を超える年月を経たゴールドは明らかに今のものと異なる深みがあります。実際に使ってみると、その控えめなデザイン性とも相まって、ドレスからカジュアルまで懐深く汎用できることが実感できるはずです。