今月のテーマは、advintageの秋の風物詩にもなってきた、"The Art of Aging"。作為のない、時の流れと偶然が作り出す芸術的な文字盤にフォーカス。
ヴィンテージデニムの美しい褪色、襤褸の芸術的なほつれなどともリンクする美意識。この美意識こそが、元は大量生産品である腕時計を一点物たらしめている要素なのですが、実は日本人が世界にインフォームしたということはあまり知られていないかもしれません。
ヴィンテージデニムの色落ちの奥深さが日本からの逆輸入を通して米国で人気を博したのと同様、文字盤の日焼けや経年変化の美しさも日本人発と言われています。自然の変化に美を見出す我々の国民性がそうした特殊な美意識を生むのかもしれませんが、これによって欧米を含むヴィンテージウォッチ市場も一変しました。
そもそも欧米では昔から、腕時計のオーバーホールの際、汚れた文字盤も交換したりリフィニッシュして綺麗に直したりすることも修理の一環として行われていましたが、現在世界のヴィンテージウォッチ市場では、それは価値を貶めてしまう行為として一般的な認知されましたし、極端に日焼けが進行したものは「トロピカルダイヤル」と呼ばれ珍重されています。
ひとつひとつの腕時計は、当時大量に生産されていましたが、それらが現在までたどり着くまでには様々な異なる背景が存在します。今回セレクトした腕時計たちは、まるで一人一人の人間のように、非常に表情豊かです。ぜひこの機会にその奇跡的な芸術をお楽しみください。