トレタケとは何か。
ロンジンのステップベゼル(Stepped Bezel)がそのように呼ばれ始めて20年近くになりますが、トレタケ(Tre Tacche)とはあくまで裏蓋に配された3点のオープナーノッチを指してイタリア人コレクターがそう呼び始めた呼称です。トレタケ以外にもオメガのファジョリーノとか、フラットベゼルをディスコヴォランテとか、何かとイタリア人はこのような愛称をつけてブランディングするのに長けているなとつくづく思います。
なぜステップベゼルではなくトレタケの呼称が一般的になったかというと、それは2つの理由が考えられます。ひとつは、トレタケ=ステップベゼルとは限らないから。つまりトレタケにはステップベゼル以外にも様々なケースバリエーションがあったためです。その中でもロンジンのトレタケ/ステップベゼルがあまりにもポピュラーなので、このケースがロンジン製だと思っている人も意外と多いかもしれません。
2つめの理由は、そのメーカーの名前が不明であるため。実際のところ、この一群のトレタケケースはフランソワ・ボーゲル(タウベルト)やデニソン、バウムガルトナーといったウォッチケース専業メーカー、いわば当時のサプライヤーの一社が製造したものです。しかしながらそのメーカー名が謎に包まれていたため、トレタケという呼称があてがわれたのではないかと推測します。
結局のところ謎だらけの存在ですが、ステンレススチールの塊をくり抜いて成型される重厚な存在感もさることながら、ステップベゼルをはじめとしたユニークなデザイン群も要注目。
メインのマンスリーコレクションとは異なるサイドストーリー、銀座店の不定期コレクション「カプリース」です。

