いわゆる三針時計は、秒針をサブダイヤルに配置したスモールセコンドと、中央に配置したセンターセコンドのいずれかの仕様に大別されます。懐中時計や置き時計、壁掛け時計といった、時計の中でも古い部類のものは概して前者、つまりスモールセコンドであり、現行の腕時計は後者のセンターセコンドというのが大方のイメージ。
そもそも時計は二針を経てスモールセコンドを加えた三針時計が長く主流を占めていました。その後1910年代から40年代にかけて、2度の世界大戦を通じてセンターセコンドの腕時計の実用性、そしてその先進的なデザインイメージを求めた市場の要求によって、少しづつ、そして確実に、腕時計デザインの主流への道を歩みました。
そして現在では当たり前となったセンターセコンド。腕時計の小さな文字盤の場合スモールセコンドでは秒視認に問題があり、それを中央にインテグレートすることで文字盤全体で時分秒をする、より合理的で洗練された設計です。しかし、洗練は同時に陳腐化も促し、ヴィンテージウォッチというジャンルにおいてセンターセコンドはスモールセコンドに比べ何か物足りないという印象もあります。
実際advintageでもセンターセコンドの腕時計は特にセレクトのハードルを高く設定していて、そのデザインやクオリティに十分な価値、あるいは意味を持っていければストックすることはありません。
それが、主に1930年代から40年代のセンターセコンドモデルでした。まだ本中三針と呼ばれるセンターセコンドに特化したムーブメントが開発される以前、スモールセコンドムーブメントをベースに、いわゆる「出車式」で中央に秒針を位置付けることに成功した時代のそれは、機能とデザインの両面において強い動機を感じさせるのです。
今月のテーマ「セントラルセコンド」では、当たり前となったセンターセコンドではなく、あえてセンターセコンドにした、そうでなければ成立しない絶対条件のような強い意思表示を持つ腕時計にフォーカスします。
