〈J.W.ベンソン〉の傑作、「トロピカル」。中でも象徴的なねじ込み式のコインエッジベゼルを持つのが、1930年代半ばまで存在した初期モデル。これは1927年にドーバー海峡を泳いで渡ったロレックスのオイスターケースと酷似しています。

〈フランソワ・ボーゲル〉が手掛けた二重構造となるこのケースは、コインエッジベゼルがケース内部のインナーケースに直結してねじ込むことで防水性を生んでおり、これを外すことでアウターベゼルが外れ、ケース本体とヒンジで連結されたインナーケースにアクセスすることができるという、非常複雑な構造。

部品数も多くメンテナンス性に難があるため、その後リリースされた”Improved”モデルはこれらの構造を一新し、シンプルなツーピース構造のスクリューバック式ケースに変更しました。ただこのコインエッジベゼルとやや大ぶりなクッションケースの圧倒的な存在感は、性能を補って余りある魅力を備えています。

翻ってロレックスのオイスターケースは、コインエッジベゼルと裏蓋がそれぞれスクリューが刻まれたインナーケースに直接ねじ込まれる形で内部のムーブメントを密閉。同時にオイスターケースのアイコンとも言うべきねじ込み式リューズによって、気密性をほぼ完璧に仕上げた点でやはり優れていました。