「バウハウス的」としばしば説明される機能美を前面に押し出した文字盤デザイン。
こちらの記事でも述べている通り、advintageでは「アール・デコ>バウハウス」の立場をとっていて、バウハウスは1920年代から40年代にかけて当時旺盛な吸収力であらゆるトレンドを包摂していったアール・デコに影響を与えたあくまで一要素であり、元来建築デザインに主眼を置いていました。バウハウスそれ自体が時計のデザインを行うのは1960年代のマックス・ビルを待つ必要があります。
しかしながら、あえて「バウハウス的」と形容しても妥当なミニマリズムと機能主義的な文字盤デザインを持つこの対の腕時計は、マックス・ビルの時代より20年近くも前に作られたもの。
「形態は機能に従う」という言葉で表現される、不要なものを削ぎ落とし機能を意匠化するバウハウスの理念を体現するこのスタイルは、マックス・ビルのオリジナリティすら霞むオーパーツ的存在。