ヴィンテージウォッチを追っているとしばしば出会う、裏蓋に勤続年数とともに会社から従業員へ贈られたことを刻印した、プレゼンテーションウォッチと呼ばれる腕時計。

これらは主に永年勤続や退職記念の贈呈用ということもあり、シンプルな三針デザイン、さらに褒賞という性格上それなりの価値が担保された金無垢や銀無垢など貴金属のケースを用いた腕時計という固有の特徴があります。その上品で奥ゆかしいデザイン性に加え、あたかもダブルネームのような強い個性を放つ様々な企業名やロゴの刻印など、実はたくさんの魅力的な要素を隠し持っています。

当時その市場規模の大きさも無視できないものがあったプレゼンテーションウォッチ。専門店で取り扱われることはあっても、さしてその背景について念入りに調べたり体系化されてこなかった近くて遠い存在に、今月はスポットを当ててみたいと思います。