ホワイト×ブラック、もしくはグレー×ブラックのバイカラーダイヤルを、そのカラーコーディネーションから「タキシードダイヤル」と呼ぶことがあります。その特徴はアワーマーカー部分とそれ以外との同心円状に異なる配色を持つ点で、二重の輪を描くため「ブルズアイ」とも称される、非常にインパクトのある文字盤デザインです。
一般にブラックのタキシードとホワイトシャツのカラーコーディネートを思わせるブラック×ホワイトをタキシードカラーと呼びますが、タキシードのショールカラーの生地に用いられたシルクの光沢がグレーに見えることから、ブラック×グレーの組み合わせも同様にタキシードダイヤルと呼ばれます。
タキシードというネーミングからドレッシーなイメージが浮かびますが、実際はどちらかというとミリタリー要素を感じさせる力強いルックス。メインのアワーマーカーを目立たせることで視認性を確保しつつ「映える」文字盤として存在感を放っています。
ただしホワイト×ブラックのタキシードダイヤルは1940年前後という非常に限定的な時期にスマッシュヒットしたパターンで、それ以降は急激に姿を消しました。当時の印象としては多少奇抜すぎたということもあったかもしれませんが、グレー×ブラックの方はコーディーネートに取り入れやすいシックなカラーリングとして人気も高く、個体数も比較的多い印象です。
