光の角度によって刻々とその濃淡が変化する、デュアルトーンダイヤル。シルバーダイヤルをベースにテクスチャーのパターンを切り替えることで、異なるシェーディングの模様を描き出すユニークな文字盤デザインです。
それはしばしば「凝縮感」という言葉で表現される、ヴィンテージウォッチ特有の密集するような文字盤デザインの基本スタイルのひとつ。さらにレイルウェイやセクターデザインなど様々な要素が組み合わさることで、その豊富なバリエーションが続々と生まれたのが1930年代から1940年代の腕時計でした。
このデュアルトーンのみをとっても、ホワイトからグレーへ、光の加減によって刻々とニュアンスが変化するもの、あるいは視点を変えるとエリアごとのトーンが切り替わるというダイナミックな変化をするものなど、テクスチャーの種類によって複数のバリエーションも存在します。
ヴィンテージウォッチ特有のデザインとして人気のあるディテールですが、意外とそれほどフォーカスされてこなかった部分。現行品では多くのラグジュアリーブランドが文字盤の装飾に贅沢な趣向を凝らしていますが、それとは異なる、本質的に腕時計としての機能性と見事に融合したデュアルトーンダイヤルの質実な美しさに、文字通り光を当ててみたいと思います。