今年最初のマンスリーテーマは「ゴシック」。年末のJOURNALでお話ししたゴシック建築のデザイン様式に着想を得たテーマです。
様々な異形の意匠に溢れ、後に「洗練されていないもの」を意味する蔑称である”Gothic(=ゴート風の)”と呼ばれたゴシック建築。今回のセレクトは、その特徴にも通じる、ある種「異形」のデザイン要素を宿した腕時計です。
肥大化したラグ、ゴツゴツした異様なシルエット、あるいはユニークな針のデザインといった無意味にも思えるようなデザインが随所に見られる、主に1930年代頃の古い腕時計。それらは後年の腕時計と比べると、言わば「洗練されていない」腕時計。しかしそれらは単なる遊び心にとどまらない、つまり「ゴシック的な」機能美や意味を持っているのです。