最近、特に角型時計が気になる。

1920年代のアール・デコの一大ブームを景気に、一気に腕時計デザインの定番のひとつとなったレクタンギュラーケース。視認性や気密性確保と言った実用面を犠牲にして、ひたすら装飾性に振り切るというコンセプトから生まれたジャンルです。

デザインすべてに何らかの実用的意味があると言われるヴィンテージウォッチ。しかし角型時計ともなると、視認性は悪いしムーブメントも構造的に無理があって精度が出しづらいし、もとより汎用性を捨てている。何よりいろいろあって、高い。何ひとつ角型を必要とする合理的な意義が見出せない。でもひとつ言えることは、ただただ、オシャレ。

ミリタリーウォッチとかクロノグラフみたいな男の子みんな大好きなアイテムとも違う。分かっちゃいるがやめられない、麻薬のような魔力。いわば、ヴィンテージウォッチの真髄に触れるようなテーマです。