今月のテーマは、ミント・ウォッチ。

「ミント」とは、ヴィンテージ市場で極めて状態の良いアイテム、もしくはニューオールドストック(デッドストック)と呼ばれる未使用状態のアイテムに対して用いられる呼称で、貨幣の「造幣局」の方を指します。鋳造したての硬貨を連想させるためだそう。

ヴィンテージウォッチという半世紀を優に超えて100年に迫ろうかという極めて古いアイテムが、未使用もしくはそれに近い状態で2020年の今、目の前に存在しているということ。これはもう、奇跡と言えます。

使用感のないケースの真新しいテクスチャー、つい最近仕上げられたような新品同様の文字盤。ヴィンテージ特有の使い込まれた味わいやエイジングの妙が一切ない。しかしそれは紛れもなく半世紀以上前の腕時計だったりする。どこか非現実的な、まるでそれがタイムスリップして手元に現れたような気分さえ味わうことができる。そういう奇跡を、できるだけ多く体験していただければ。

ヴィンテージ特有の使い込まれた味わいやエイジングの妙がおよそない、ある種の違和感にも似たタイムレスな感動を、是非。