今月のテーマは、〈アルピナ〉というブランドについて。前々回にリップとミドーをやって、今回もブランドにフォーカスするテーマということになりますが、今回はそのストーリー部分について掘り下げてみたいと思います。ちなみにブランドに関する情報はこのジャーナルで「ブランドストーリー」という形で綴っており、あえてマンスリーテーマで掘り下げるのは初の試み。
ではなぜアルピナなのかというと、その高い評価とは裏腹に、そのストーリーや時計産業に与えた影響の強さがほとんど語られていないからです。
アルピナの腕時計はヴィンテージウォッチ業界でも隠れた名門というポジションで、取り扱うお店もかなり多い印象。しかし一方でその位置付けはいまいち不明瞭です。オメガほどではないけど歴史もあってなんとなく中堅機、みたいなあやふやな取り扱いをされているような気がします。
日本語できちんと説明されている文献も少ないこともあって、多くは自社ムーブメントを搭載しているし多分良いブランドなんだろう、程度の認識だと思います。非常にもったいないことです。このアルピナというブランドは、かつてスイスの時計産業に多大な影響を及ぼす画期的なシステムを作り上げ、それによりヨーロッパ圏における広範な時計販売網を確立した非常に重要なブランドなのです。
アルピナと一時協業を行った米国の時計メーカー〈グリュエン〉との関係、またアルピナと同じ三角形の中央に円を描くロゴを持つ〈ドゥゲナ〉というジャーマンウォッチブランドとの関係も紐解く必要があります。
advintageもその質実剛健な時計作りと優れたデザイン性に惚れ、自然とセレクトに入ってくることの多い特別なブランド、アルピナ。その一ファンとして、アルピナについてできるだけ情報を集め、研究してみました。今月は是非その魅力の本質を多くの人に味わってもらいたいと思います。