悩みに悩んだ年明け一発目のテーマ。
毎年この時期はいつも原点を思い起こしながら、どんなテーマだとadvintageの腕時計の魅力を表現できるか、モヤモヤとそのシルエットを頭の中で描いては消しを繰り返すのですが、今年は本当に時間がかかりました。そしてふと、普段お客様との会話でしばしば出てくるのがウォッチケースの話題だったことを思い返しました。
腕時計はムーブメントのみならず、文字盤や針、ケースといった外装を構成する要素もまた、さまざまなサプライヤーが絡んでいます。中でもウォッチケースにおいては、自社が手掛けた製品をあえて区別するかのように、自社のロゴをケースに刻印するメーカーが当時いくつか存在していました。
スイスの〈フランソワ・ボーゲル〉、アメリカの〈スター・ウォッチケース・カンパニー〉、そして英国の〈デニソン・ウォッチケース・カンパニー〉。彼らは腕時計が急激にその着用環境を広げた20世紀前半、革新的な防水設計や美しい外観を持つケースデザインを数多く生み出したことで知られています。おそらく数多く時計を見ている人なら、その美しい佇まいや質感の違いは見た目で判別がつくと思います。それくらい素晴らしいものです。
今では存在していない、もしくはほとんど知られていないアノニマスメーカーが、パテック・フィリップやロレックスにも供給していたメーカーのウォッチケースを使う。このようなことが当時しばしばあったということは、ヴィンテージウォッチの奥深い価値を示唆する事例として注目に値します。
新年早々マニアックなテーマではありますが、ウォッチケースは腕時計の魅力や価値を左右する重要なファクターです。今回は代表的なメーカーにフォーカスしますが、そのリッチなデザイン性、クオリティの高さにタッチしていただければ。
本年初回の渋谷店営業日は1/8になりますので、ご都合が合えば是非。
それでは新年あけましておめでとうございます。心躍るような、そしてまだ見ぬヴィンテージウォッチを、今年もひとつひとう地道に丁寧にご紹介してまいります。