前回のブログでご紹介したオイスターケース。
とりわけ1920年代に相次いで取得された、ネジ付き中胴を備えたねじ込み式の防水ケースとスクリューロック式の防水リューズですが、実は非常にまれながらロレックスやオイスター以外の腕時計にも用いられている例があります。
 

アンティーク 腕時計

 

カッパーダイヤルがシックな無銘のジュエラーウォッチと、英国の宝石商《マッピン》のフレキシブルラグが特徴的な腕時計。いずれも9Kの金無垢ケースでありながら防水構造が見られる、1940年代の金無垢時計には非常に珍しい仕様です。
特に注目に値するのは、いずれも上記のロレックスのオイスターケースと同じ防水構造が採用されている点。ねじ込み式のベゼルと裏蓋で、ムーブメントに取付けられたネジ付き中胴をミドルケース内部で挟み込むという、非常に手の込んだ内部構造を持っています。

 

アンティーク 腕時計

 

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金無垢ケースの場合、そのほとんどがスナップバック式の非防水ケースである一方、この両者は上品でドレッシーなデザイン性を持ちながらも、ねじ込み構造による防水性を確保している点で優れています。裏蓋に “REMOVE MOVEMENT FROM FRONT AND UNSCREW BEZEL” と、特殊な構造ゆえの注意書きがあるのも面白い点。
1960年代以降は金無垢ケースにもスクリューバック式の裏蓋を備えるものも増えてきますが、時代性もあってケースはやや大振りでデザイン的にもハードな印象。1930、40年代に見られる、品があって渋いデザインの金無垢腕時計に防水性を兼ね備えたものは、これらを除いて他にないでしょう。
 

 

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こちらの《ヘーマ》のダイバーズクロノグラフ。裏蓋はねじ込み式のスクリューバックケースですが、リューズもスクリューロック構造が見られるのが特徴。ダイバーズモデルはパッキン入りのウォータープルーフリューズによる防水構造がポピュラーですが、こうした特殊な仕様が見られる個体もまれです。
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とはいっても、やはりその防水構造は半世紀前のもの。過信は禁物ということもお忘れなく。