世界で最も古い時計メーカーとして知られる、ウエスト・エンド・ウォッチ・カンパニー。
 

このメーカーの腕時計に共通する特徴として、防水・防塵性能の高い二重構造のステンレススチールケースにねじ込み式の裏蓋といった、非常に堅牢でタフな仕様が挙げられます。また独特のシェイプを持つ小振りなデザインも、同社のオリジナリティを象徴しています。さらにこのブランドを特別なものにしているのは、英国軍保有の証であるブロードアローを持つ軍用時計として製造されているということ。
英国・ロンドン中心部の地区の名前に由来する「ウエスト・エンド」という社名。当時スイスのサン=ティミエに存在していた《アルシード・ドローズ(Alcide Droz & Sons)》という時計メーカーの自社ブランドとして、1885年には誕生していたようです。アルシード・ドローズ社のインド・ボンベイ支社長であったアーノルド・チャルピエという人物がその名前の考案者と言われていますが、当時アルシード社は当時イギリスの植民地であったインド市場に向けて時計製造販売を開始しており、市場開拓の先鞭をつけるために用いたのが、そのイギリスにルーツを持つ「ウエスト・エンド・ウォッチ・カンパニー」の社名でした。
第一次世界大戦期の対オスマン=トルコの争いの際、ボンベイからペルシャ湾を経てイラクに向け、英国・インド双方の兵士が大挙して攻め込みました。その時支給されたのがウエスト・エンド社の腕時計で、有名な「アラビアのロレンス」、つまり英国軍情報部工作員トーマス・エドワード・ロレンスが愛用していたのも同社の時計であったと言われています。
 

1917年に同社はジュネーブに本拠地を移し、同時にウエスト・エンドの最も成功したブランド「ソワール(Sowar)」がリリースされます。ヒンディー語で「戦士、騎馬兵」を意味するこの腕時計には、しばしば”C.S.(I)”の刻印が見受けられます。これは”Civil Service in India”を意味しており、インドにおける英国人・インド人の将校つまり「インド高等文官」向けの腕時計として幅広く支持されました。特にその堅牢なケースは高温多湿で塵埃の多いインドでの着用に耐えるものとして、実用性の面でも評価の高い腕時計でもあります。
 

アンティーク 腕時計

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ウエスト・エンドは日本ではそれほど有名なブランドではありませんが、英国のみならずインド、中東地域では名のある時計メーカーとして知られています。特にスイス時計メーカーの名門《ロンジン》社とのコラボレーションはその証左であり、同社の傑作ムーブメントCAL.12.68Zを搭載したハイエンドなモデルが散見されます。こちらの腕時計には”LONGINES”の文字が文字盤に記載されています。
 

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作りが良く、使い勝手にも優れた腕時計が多く、是非もっと多くの方にその魅力を知っていただけたらと思う、advintage一押しのアンティークウォッチブランドです。